システマティックリスク

分散投資によっても消去しきれないリスクのことをシステマティックリスクといいます。また、個別の銘柄ごとにリスク要因があり、分散投資である程度消去できるリスクをアンシステマティックリスクといいます。2022年は世界全体で選挙の年です。そのことからシステマティックリスクが発生しやすい年になる可能性があります。

2022年は選挙の年。結果によりシネマティックが起こる可能性がある。

投資の「時間分散」を行うことで、価格の上下を味方にできる

シネマティックリスクに備え、売却時期も余裕を持っておきたい

2022年は世界的な選挙の年

最初に2022年の選挙日程をみていきます。まず、2月にイタリアの大統領選出があります。3月は韓国の大統領選挙、4月はフランスの大統領選挙、5月はフィリピンの大統領選挙とオーストラリアの総選挙、6月がフランス国民議会(下院)の選挙と続きます。

年後半は、夏に日本の参議院選挙があり、9月スウェーデン総選挙、10月ブラジル大統領選、11月の米国の中間選挙が予定されています。

この中で、世界的に注目されているのは、4月のフランス大統領選挙、11月の米国中間選挙です。国内では3月の韓国大統領選挙、夏の参議院選挙、11月の米国中間選挙の行方が注目されています。

また、中国では秋に、5年に1度開催される党大会があります。習近平総書記が確実に3期目に入れるかどうか、世界的に注目されている政治イベントです。

選挙結果はシステマティックリスク

選挙の結果は市場全体に影響を与え、分散投資によっても消去できないシステマティックリスクを発生させる要因になりえます。

ただし、システマティックリスクで触れている分散投資は主に銘柄分散を指し、時間分散を指していないように思われます。時間分散の観点では、個々の選挙結果に投資家が一喜一憂し、株式市場全体の価格が大きく上下することはメリットになります。

下がったときに多く買えるのが時間分散の効果

なぜ価格の上昇のみならず、下落までメリットになるのでしょうか。時間分散の効果について考えてみましょう。

投資のタイミングを考えて1度に投資するのではなく、例えば同じファンドや同じ銘柄の株を一定の金額で毎月決められた日に買い付けていくのが時間分散の投資方法です。価格が下がった時には下がった価格で、上がった時には上がった価格で買い付けを行います。継続して買い付けを行うことで、平均購入単価を低く抑える効果が期待できます。平均購入単価を下げる目的で行う投資方法のことを「ドルコスト平均法」といいます。

以下、ファンドを例に説明していきます。ドルコスト平均法は、基準価額が値上がり値下がりを繰り返している時に効果が期待できます。ファンドの基準価額が下降し続けるケースでは不向きな投資方法です。

上記の表のように買い付け金額を一定(30,000円)に保ちます。そのため基準価額が上がった2回目、6回目では購入数が減りますが、基準価額が下がった3、4、5回目は購入数が増えます。これにより、合計の投資金額を総購入数で除した時の平均購入単価を下げることができ、売却時の基準価額が多少下がっていたとしても、売却益を得る確率を上げる効果が期待できます。

ただし、一括売却を考えている場合、その時期に大きなシステマティックリスクが発生すると基準価額が大幅下落し、大きな損失を被ってしまう可能性もあります。そのような事態を避けるために、売却時期に余裕を持つことや、売却時期を分けることが必要です。

政治に伴うシステマティックリスクが起こっても冷静に対応できるよう、投資では時間分散を活用するとともに、心の準備もしておきましょう。