「FX」は外国為替証拠金取引の略であり、自国の通貨を利用して他国の通貨を購入する資産運用になります。経済活動における中心的役割を持つ「通貨」を対象にしているので、資産運用の中でも特に変動幅が大きく、稼ぎやすいというメリットがあるのです。ただし実際に行う場合にはいくつかの注意点があります。この記事では、FXにおけるリスクについて紹介します。
レバレッジの設定には注意しよう
FXを始めるうえで、絶対に覚えておいてほしいのは「レバレッジ」の設定です。レバレッジというのは銀行及び証券会社が、サービスを利用する際に足りない部分を補填してくれる仕組みです。FXの基本的な流れをおさらいすると、最初に銀行及び証券会社にFX専用の口座を開設します。口座の開設に成功したら、口座を利用してFXを行う証拠金として10万円をめどに入金をします。10万円の入金が確認出来たら、銀行及び証券会社が取り扱っている通貨商品を見て購入することができます。
FXは10万円からでも始められますが、実は10万円では通貨購入費には全く足りないのです。それでも10万円をめどに始められるのは、先に言ったとおりに銀行及び証券会社が外国通貨を購入する為に足りない部分を補ってくれているのが理由になります。この補ってくれている部分がレバレッジと呼ばれています。FXではレバレッジを設定することができ、大きく設定すれば、銀行及び証券会社から通貨を購入できる量が増えるので利益が増えます。
しかし注意してほしいのは、レバレッジを大きく設定をするということは損の額も大きくなるということです。繰り返しになりますが、経済の中心的役割の通貨で資産運用を行うため、相場は常に変動しています。もちろん変動の流れに合わせられれば良いですが、この流れを読むのはプロでも難しいのです。
日本のFX企業の多くは、自身でレバレッジを設定するのではなく、購入数を設定できるようにしています。もし初心者が10万円からFXを開始するのであれば、失敗のリスクを考えると目安として数量を1から3までに設定すると良いでしょう。もし海外口座のFXのように自身でレバレッジを設定をする場合には、最初は5倍から10倍以内に抑えるとリスクを減らすことができます。
悪循環にはまらないようにようにすること
レバレッジに関するリスクの次に覚えてほしいのは資産管理です。FXは証拠金を入金すると始められますが、どの通貨にも購入金額が記載されています。通貨は1個当たりの値段として、アメリカのドルでは5万円、ユーロやイギリスポンドに至っては6万円が必要になるのです。
トルコや南アフリカなどの後進国の場合には購入金額は安くなりますが、後進国の多くは政治と経済が安定していないので、主要通貨に比べ値幅が一気に変動する確率が高く、プロでも流れを読むのは難しい通貨です。初心者は避けたほうが無難でしょう。
もし購入金額よりも証拠金が少なくなってしまった場合には、銀行及び証券会社が危険水域に達していると判断し強制決済を行います。強制決済をすることで口座預金がなくなるというリスクを抑えられますが、再始動をするための予算が足りなくなってしまいます。そうなると、追加証拠金を口座に入金する必要があります。
この強制決済をしないためには、どこまで損失を出してもよいかの目安を立てる「心理的コントロール」が重要になります。初心者がやってしまうミスの中でもっとも多いのは、減らしてしまったことに焦りが出て、チャートなどを見ずに再取引をしてしまうことです。焦りは資産運用にとって大敵であり、流れを読まずに再スタートを切ってしまうと「底値」に達してしまっていることに気づかずに注文をして損をするという悪循環をしてしまいます。
FXをするうえで重要なのは再スタートを切るための余力です。損失を出しても、残った余力で次の相場の流れに乗ることができれば挽回ができます。このように挽回できるタイミングを間違えないためにも、1日から1週間を目安にどれだけ損失を出してもよいのか決めておくことでゆとりのある取引ができるのです。
経済統計と戦争関連やパンデミックに注意しよう
初心者がFXをする場合には、1週間の中期保有そして1か月を目安にした長期保有にするのがよいでしょう。1日から5日以内で取引をする短期取引だと細かく稼ぐことができますが、ロスカットの数が増えることで損失額が増えてしまいます。そこで1週間から1か月を目安に取引をすることで、無駄なロスカットを防げるので結果的に利益を上げやすくなるのです。
ただし、中期及び長期保有を決めた時は、経済統計と戦争関連やパンデミックのリスクを考えておく必要があります。経済統計は、個人消費や企業の利益の数値をもとに前月の経済の状況を見るものです。特に雇用統計や非製造など、通貨に関連するものは変動が激しくなるのでチャートを確認する必要があります。
そして2020年度の象徴といえる、コロナウイルスによるパンデミックや貿易摩擦などの戦争関連は、経済統計以上に著しく通貨に影響を与えます。これらの通貨に影響を与える出来事は、唐突に発生するので被害を抑えるのは難しいのです。そのため、FXを行う際は必ず「指値注文」を行うことで損失額を設定し、ダメージコントロールをすることが重要になります。
自信がないなら専門家とタッグを組もう
FXは資産投資の中でも稼ぎやすい商品といえますが、通貨は経済の中心的役割を持つからこそ、価値の変動幅が大きく損をする可能性も高いです。1年たった後にうまく稼げないと悩むのであれば、無理をせずにファイナンシャルプランナーなどの専門家とタッグを組むのもよい選択といえます。専門家は現在の市場状況を調べているので、今後の動向についてアドバイスを受けることで成功率を上げてくれるのです。