シストレ(FX自動売買)のメリット・デメリット

みなさん、こんにちは。

FXを始める場合、裁量取引とシステムトレード(シストレ・自動売買取引)があるのがご存知でしょうか。

裁量取引とは、「その人の考えによって、売買のタイミングなどを判断する取引」のことです。一方シストレとは、「予め組み込まれたロジックに従って、システムによって自動で売買をする取引」をいいます。

裁量取引とシストレ、どちらも一長一短があるため、一概にどちらがいいとは言えません。

今回は、シストレのメリット・デメリットについて分かりやすく解説していきます。

シストレとは

 シストレとは、予め決められたルール(プログラム)に従って、人では無くシステムによって自動でFX取引が行われるものです。

 人が行う裁量取引の場合、全てその人の判断に基づいて取引が行われるため、様々な局面でその人の感情や気持ちなどの論理的ではない要素が入る余地があります。例えば、ポジションを持っていた場合に、想定と違う相場の動きになるとします。本来ならば早めに損切りするべき局面でも、感情が邪魔をして損切りができずにズルズルとポジションを持ち続けてしまい、結果的に大きな損失を出してしまったというケースは珍しくありません。

 一方、シストレだとそういった感情や主観が一切排除されます。過去のデータに基づいた勝ちパターンが組み込まれたプログラムに従って、その条件になったら何の感情も介入させずにシステムによって自動的に売買が行われます。

人間の感情が入らない、つまり「もう少し上がったら(下がったら)売ろう(買おう)」という揺らぎが起こらないため、大事な局面でチャンスを逃しません。あるいは、「まだ損切りしたくない」という感情的な判断ミスによる失敗も起こりません。

シストレは2種類

 シストレには、「開発型システムトレード」と「選択型システムトレード」の2種類があります。

開発型システムトレード

 開発型シストレは、上級者向けのシストレです。自動売買プログラムであるEA(エキスパート・アドバイザー)を自分で用意し、取引ツールに設定します。代表的なものに「MT4(メタトレーダー4)があります。EAは、自分で取引ルールをプログラミング化して作成するか、インターネット上で販売されている(もしくは無料で提供されている)EAをダウンロードします。設定方法が複雑なので、初心者にはハードルが高いですが、EAの編集機能やパラメーターの設定機能がついているため、自分で好きなようにカスタマイズすることが可能で自由度が高いシストレと言えます。

選択型システムトレード

 選択型システムトレードは、あらかじめ自動売買プログラム(ストラテジー)が取引ツールに搭載されているため、複雑な設置は要らず初心者向きです。

例えるなら、開発型がオーダーメイド品であるのに対して、選択型は既製品から好きなものを選ぶようなイメージです。既製品はデザインが変更できないのと同じように、選択型システムトレードでも、あらかじめ内蔵されている自動売買ロジックを変更することはできません。

開発型システムトレード選択型システムトレード
タイプ上級者初心者・中級者
システム自分で自動売買プログラムを開発するか、開発されているプログラムをダウンロードし、取引ツール上に自分で設定して稼働させる売買業者のプラットフォーム上にあらかじめ用意されている自動売買プログラムを選択する

シストレのメリット

 シストレのメリットは3つあります。

シストレのメリット

・24時間自動で売買ができる

・感情に左右されない

・専門的な知識が必要ない

24時間自動で売買ができる

 シストレは、システムがプログラムに沿って24時間自動で取引を行ってくれるため、パソコンに張り付いている必要がありません。裁量取引の場合、エントリーから決済までチャートを見続けないといけないこともあるため、拘束時間が長くなり、普段忙しい方だと取引をするのが難しくなります。その点、シストレだと、日中仕事をしていたり夜寝ている時でも取引が可能です。

感情に左右されない

 シストレは、あらかじめルールが決められているので、感情を挟むことなく取引ができます。裁量取引だと、大事な局面で感情によって決断が遅れ、チャンスを逃してしまうこともあります。特に、メンタルコントロールができていない初心者の方だと、損切りがなかなかできずに気づいた時には大きな損失を出してしまうということも少なくありません。

 FXで大きく負けないためには、「ルールを決めて必ず守る」という鉄則がありますが、これが簡単なようでとても難しいです。そのため、シストレで感情に左右されない取引ができることは大きなメリットと言えます。

専門的な知識が必要ない

 シストレには、トレードに精通した投資家が作成した自動売買プログラムを提供する会社もあります。そのため、初心者でもあらかじめ用意されているプログラムの中から目的に合ったものを選ぶだけで自動で取引が開始されます。忙しくて時間がない方でも、自分で相場を分析したり高度な勉強をする必要がないため、効率よく投資ができます。

シストレのデメリット

 シストレのデメリットは3つあります。

シストレのデメリット

・利用するストラテジーによって運用成績が変わる

・急な相場変動に対応できない

・実質手数料が高い

利用する自動売買プログラムによって運用成績が変わる

 シストレの種類は様々ですが、どのアルゴリズムのプログラムを選んでも稼げるかどうかは分かりません。相場は日々変動するものなので、その状況によってプログラムの向き不向きが変わります。そのため、「これを使えば必ず勝てる」というプログラムは存在しません。そのような謳い文句のプログラムは、詐欺の可能性もあるため注意しましょう。

急な相場変動に対応できない

 シストレは、一度設定するとあとは組まれたプログラムに従って自動で売買が行われます。裁量取引の場合は、相場に応じて臨機応変に対応できますが、シストレの場合急に相場が変動した際に柔軟に対応できないことがあります。

 シストレのプログラムは過去の相場を元にシステムが組まれているため、過去に例がない世界的な不況などが起こり相場が急変すると、それに対応できず、動かしているプログラムの内容によっては不測の損失が生じる場合があります。そのため、定期的に自動売買プログラムの設定状況を確認したり入れ替えたりして、完全に放置してしまうことがないように気をつけましょう。

実質手数料が高い

 裁量取引では、実質かかる手数料はスプレッドのみですが、ほどんどのシストレでは、スプレッドだけでなく売買手数料もかかるため、取引コストが高くなりがちです。FX業者によっては、手数料無料のところもありますが、基本的には取引コストが高くなることは覚えておきましょう。

 

初心者が始める時のポイント

・少額から始める

  慣れない状態でいきなり大きな資金で運用すると、その分大きな損失を出すリスクが高くなるので、まずは焦らずに少額から始めましょう。初心者の方は、短期的な利益を狙うより、少額で長期的な投資をする方が結果的に大きな損失を出しにくくなります。攻めの投資はある程度慣れてきてからにしましょう。

・余剰資金で行う

  これは投資の基本ですが、必ず余剰資金で行いましょう。余剰資金というのは、生活にかかる費用や緊急時に備えた資金を除いたお金のことをいいます。生活に必要な資金を使って投資をすると、もし大きな損失を出した際に生活ができなくなってしまったり、誰かからお金を借りてまでする投資は、借金が膨らんでいくリスクがかなり高くなるためやめておきましょう。

まとめ

 今回は、シストレのメリット・デメリットについてお話しました。

裁量取引もシストレも、それぞれに必ずメリット・デメリットがありますので、自分の生活スタイルや目的に合った投資方法を選んでください。