仮想通貨テザー(USDT)の特徴は?メリット・デメリットを解説

ビットコインの激しい値動きが注目を集める仮想通貨(暗号資産)。仮想通貨の種類は、今や1,000種類を超えており、それぞれどのような特徴があるかわからない人も多いのではないでしょうか

この記事では、仮想通貨の中でもステーブルコインとして注目を集めるテザー(USDT)について解説します。テザー(USDT)の特徴やメリット・デメリットを解説したうえで、おすすめの取引所も紹介するので参考にしてください

仮想通貨テザー(U S T D)とは?

まず、テザー(USDT)の特徴をまとめておこう。テザー(USDT)は、ほかの仮想通貨と比較すると、大きく異なる仕組みとなっています

Tether Limited社が運営する「ペッグ通貨」

テザー(USDT)は、Tether Limited社が運営している「ペッグ通貨」。ペッグ通貨とは、別の通貨の価値と連動させることを目的とした通貨で、テザー(USDT)は米ドルに連動しています

最大の特徴は、1ドル(USD)がおおよそ1USDTになるように固定されていること。発行したテザー(USDT)とTether Limited社が所持している米ドルを同量にすることで、価値が保たれる仕組みとなっています

テザー(U S T D)の将来性は?

ペッグ通貨という役割をもつテザー(USDT)には、どのような将来性があるのでしょうか。ホワイトペーパーに記載されている、今後実装が予想される機能を紹介していきます

マルチシグが実装されることで安全性が向上

ホワイトペーパーには、テザー(USDT)にはmulti signature(マルチシグ)が実装される予定だと記載されています。マルチシグとは、仮想通貨へのアクセスの際に必要なパスワードを複数作成し、分割管理をすることでセキュリティを高める対策です

普通のセキュリティ管理ならパスワードは1つしかないですがマルチシグが実装されると複数のパスワードで守られるため、不正アクセスのリスクを下げられますマルチシグの搭載でセキュリティが格段にアップすることは、大きなメリットだと言えます

例えば、3つ以上のパスワードを作成し、いずれか2つを使ってアクセスできるように設定をしたとしましょう。そうすれば、万が一取引所から仮想通貨が盗難されることがあっても、自分の仮想通貨は取り返せるかもしれません

ただし、マルチシグを実装するための設定の難解さや、誰に複数のパスワードを預けるのかという部分が、現状の課題だといわれています

スマートコントラクトを実装し、安全で簡単な取引に

ホワイトペーパーには、テザー(USDT)にスマートコントラクトを実装することも記載されている。スマートコントラクトとは、自動で契約できる技術だ。スマートコントラクトが実装されると、ブロックチェーン上に取引内容を改ざんできないような状態で書き込み、その契約を証明するというシステムになる。

現在の取引では、売り手と買い手だけでなく、第三者の仲介が入るのが一般的で、第三者に仲介手数料を支払うことになりますスマートコントラクトの実装で、仲介者が入らずに取引ができれば、仲介手数料は不要になります

さらに、人の手での作業によるヒューマンエラーが起こらなくなるなど、安全で簡単な取引が実現できるといわれています

テザー(U S D T)の過去の高騰と今後

上述したように、テザー(USDT)は価格の変動が極めて起こりにくい仮想通貨でありますペッグ通貨という性質上、大きな高騰は起こりづらいです

過去にビットコインが大暴落を引き起こした際、テザー(USDT)が関わっている可能性があるという通称「テザー疑惑」がありました。「テザー疑惑」はテザー(USDT)の価値の裏づけとなる米ドルをTether Limited社が保有していないかもしれないと、取り沙汰された問題です

もし疑惑が真実だった場合、テザー(USDT)の価値の裏付けが一気に失われます。テザー(USDT)だけの問題にとどまらず、仮想通貨市場全体の大問題に発展するおそれもあるでしょう

この疑惑を受けて、2018年に行われた公聴会では、疑惑について明確にならないまま終了しています

テザー(U S D T)を保有するメリットとデメリット

テザー(USDT)を保有することは、ビットコインなどのほかの仮想通貨を保有するのとは違う性質があるため、メリットやデメリットも異なります。以下でテザー(USDT)を保有する主なメリット・デメリットを解説していきます

多数の取引所が基準として採用

特にアメリカの取引所を中心に、テザー(USDT)を基準通貨としているところは非常に多いですテザー(USDT)と取引可能な通貨ペアを用意していることが多いため、取引がしやすい点がメリットです。テザー(USDT)の取引に向いている取引所については後述します

カウンターパーティー・リスクが高い

テザー(USDT)は安定した仮想通貨ですが、価値を固定するためにTether Limited社の強い中央集権のもと管理されていますTether Limited社にすべてがかかっており、万が一不正が発覚したり破綻したりした場合に、一気に価値を失う可能性があります

このようなリスクを、カウンターパーティー・リスクと呼ぶ。テザー(USDT)はほかの仮想通貨と比較して、カウンターパーティー・リスクが高い傾向にあります

これからも注目が集まる仮想通貨のテザー(USDT

この記事では、注目が集まっている仮想通貨テザー(USDT)について解説しました。ほかの仮想通貨とは存在意義が異なるペッグ通貨で、どのような仮想通貨市場でも価値に安定感があるのが、最大の特徴です

ペッグ通貨のメリットである価格変動の少なさを維持するためには、Tether Limited社が常に安定した運営をすることが必要不可欠でありますこれが崩れると、一気に暴落するおそれもあるでしょう。テザー(USDT)を取引するにあたっては、こうしたデメリットもしっかりと理解しておくべきです