普通の会社員を「億り人」にした米国株の選び方

米国株を始めるべき2つの理由

長期的な成長が望めなければ、タイミングをうまくとらえ値動きで利益を上げていく必要があります。しかし、長期で成長が期待できる米国株インデックスなら、毎月の給料の中から、積み立て投資をしていけばいいのです。まとまったお金がなくてもできますし、タイミングも見なくていい。つまり、誰にでも、すぐにでも、始められます

米国株なら長期保有でリターンが期待できます。

個別銘柄もいいですが、もっと簡単な投資信託やETFで十分。

まとまったお金でなく、毎月の積み立て投資でいい、というわけです。

低迷が長かった日本株への投資を経て、米国株の魅力があります。

ファンダメンタルズの面もありますが、大きな理由は以下の2つに集約されます。

1 人口が増加しており、消費成長国であること
2 投資に見合った法整備がなされていること

です。この条件を満たす国はごく限られています。

たとえば日本は人口が減少しており、消費も縮小しています。

最低限の法整備はされていますが、いまだにコーポレートガバナンスが徹底されていない面があります。先ごろ話題になったかんぽ生命の販売姿勢に関する問題など、国を代表するような大企業でも消費者を欺くようなことが頻繁に起きています。たまにではありません。頻繁にです。

言い方を変えると、かんぽ生命のような売り方をしてマージンを稼がないとやれない時代になりつつあるということです。縮小経済を生きるというのはそういうことなのです。

株主をないがしろにしない米国企業

また、かつての銀行のように経営上の失敗を増資という形で平気で株主に押し付ける企業があることも、投資の難易度を上げています。昔に限らず今も増資に伴う株式の希釈が頻発しています。

増資とは、企業の資本金を増加させることです。たとえば株式投資では、会社の資産と株価を比較して株価の割安性を測る「PBR」(株価純資産倍率。株価÷1株当たり純資産)や、会社の利益と株価を比較して株価の割安性を測る「PER」(株価収益率。時価総額÷純利益)という指標があります。株式を新たに発行して増資をすると、これらの数値が既存の株主に不利な方向に変わってしまいます。

「100万円を100株で割って1株1万円の収益だったのが、増資によって200株になり、200株で割って5000円の収益に変化した」ということです。1株当たりの収益が下がるので、株価も下がります。後出しじゃんけんで、投資することを決めた基準が変えられてしまうのです。

明らかな株主軽視であり、比較的ガバナンスのしっかりしている大企業でさえこのようなことが頻繁に起きるようでは、おちおち投資することなどできません。米国の場合は、そもそも売り上げや利益などの数字をきちっと作ってきますし、経営が悪くなったり、安易な増資をするようでは経営者は即座に解任です。

安定した高水準の配当金も魅力

株式には売買によって生じる売却益(値上がり益)と、企業収益の分配として配当というリターンがあります。キャピタルとインカム(配当)です。

イギリスをはじめとするEU各国やオーストラリアの企業も配当の水準は高く、配当利回りが6~7%の企業もあります。しかし株価指数はさほどパッとせず、株価も一部を除いて横ばいであり、米国企業のように売却益もインカムも、両方期待できる企業は多くありません。

米国企業に高水準の安定配当があり、しかも成長性もあるというのは、やはり企業統治をはじめとする株式を成長させる仕組みがしっかりしているからです。

日本はこの辺りはゆったりしています。たとえば、日本は長きにわたって株の持ち合いがありました。株の持ち合いには、企業同士が株を持ち合うことで、経営を安定させるという狙いがあります。銀行を頂点としたこの持ち合いは、護送船団的で互助的な機能がありました。今も緩やかながら存在しています。

一方、米国では投資家の目が厳しく、経営者の評価の仕組みが日本とは全く異なります。日本では、不祥事でも起きない限り経営者が退場させられることは、そうありませんが、米国では経営上の成果が出なければ経営者は交代ということになります。

「個別株」と「インデックス投資」のどちらを選ぶべきか

米国株の魅力や、投資信託やETFで十分リターンが期待できること、時間分散、資産分散でリスクを低減した方がいいことなどをお話ししてきました。ここからは、米国株投資について、より具体的に述べていきます。

まずは、「個別株」がいいか投資信託やETFに投資する「インデックス投資」がいいかについて考えてみます。

個別銘柄のメリットは、大きく値上がりする銘柄に適切に投資をすれば、効率的にお金を増やせることです。しかし、銘柄選びには、ある程度は知識や情報が必要ですし、株価の推移をチェックするなどの手間もかかります。

残念ながら誰にでもセンスがあるわけではなく、銘柄選びや売買のタイミングを誤ってしまうこともあります。なにより、インデックスよりも値動きが上にも下にも大きい、つまりばらつきが大きいのが特徴です。リスクが大きいというわけですね。

対して投資信託のメリットは誰にでも簡単に取り組みやすいこと、です。

米国株市場は厳しい基準で運営されているため、利益が出せる力のある銘柄が集まっています。米国株市場でも、旬を過ぎた銘柄や、ある時期、利益が出せない銘柄もあります。利益が出せない銘柄を拾ってしまうと、リターンが得られない可能性があるのは当然です。難しいのは、上昇する銘柄と下落する銘柄をズバリ見抜けないということです

インデックス投資なら分散投資に最適

インデックス投資とは特定の国、特定の市場など、あるテーマに沿ったほとんどすべての銘柄をまとめてパッケージで買うことになります。つまり、個人ではなかなか難しい、多くの銘柄分散を図った買い方が簡単にできるというわけです。これは、金融テクノロジーの恩恵の一つと言って良いでしょう。

銘柄の分散を図れば、投資のリスクはより抑えられますが、個人で管理できる銘柄には限りがあり、せいぜい10から20銘柄くらいでしょう。それが、投資信託やETFならば、何百、あるいは何千という銘柄に一気に投資できるのです。

もちろん、業績の良くない銘柄が入っていれば多少、足を引っ張られることもあります。そのため、業績の良い上昇銘柄のみを集めた個別株群よりもパフォーマンスは落ちます。しかし、その上昇銘柄を見抜くのが至難の業なのです。

投資信託には、運用のプロが銘柄選択することでより高いリターンを目指す「アクティブファンド」というタイプもありますが、昨今では多くのアクティブファンドはインデックス投資に勝つのは難しいということが広く知られています。株式投資というのはそういう難易度をはらんだ活動なのですね。インデックス投資ならば、簡単に買えて、銘柄分散の効果を得ながらリターンを享受できる、というわけです。

最後に・・

仕事をしながら個別銘柄に投資するのはなかなか大変です。それが楽しめる人は別ですが、そうでない方は、ETFや投資信託で手のかからない投資をコツコツとすればいいですね。

米国株であれば、それで十分なリターンが期待できます。目標額を達成するために、毎月いくら積み立てればいいか、利回りによってどう変わるか、インターネットで簡単に試算できます。「金融庁 資産運用シミュレーション」などで検索できるほか、証券会社のサイトなどにもあります。投資のモチベーションが上がるので、試してみるとよいでしょう。