新500円の流通始まる、今年度は2億枚発行 、鉄道・バスで使える?

11月1日から一般流通開始の「新500円硬貨」

2021年11月1日(月)から、新たなデザインの500円硬貨の流通が開始します。現行の500円硬貨と比較し、大きさは同じではあるものの、素材に白銅と銅が追加され、重さも0.1グラム重くなります。

これに伴い、鉄道では券売機などで、バスでは運賃箱などで、それぞれ新500円硬貨への対応を迫られることとなりました。4月の時点において、「財務省の調査で鉄道会社は7割から8割で改修済み」との報道もあります。しかし、対応は各社で違いも見られます。

東急は一部の駅を除き、「駅の機器のうち少なくとも1台を改修し、新500円硬貨が使えるように対応済みです」とのこと。東京メトロも同じで、「各駅各コーナーについて、券売機と精算機1台ずつ、機器の一部およびシステムを改修済み」としています。なお、対象となる1台は点字誘導ブロックが設置されている機器が優先となっているほか、新500円硬貨が使用不可な機器には、その旨を図示したステッカーを貼付しているとのことです。

一方で「新500円硬貨は対応していません」という発表を行った会社もあります。関東バスや西武バス、京阪バス、広島電鉄をはじめ多くのバス・鉄道会社は10月下旬に相次いで、運賃箱や両替機では使えない旨を、ニュースリリースなどで告知しています。

関東バスの担当者は「大規模な機器更新が必要なわけではなく、ソフトウェアの更新で対応は可能」としながらも、「ソフトウェアの更新にも高額の費用がかかる」と話します。関東バスでは、2024年度に予定されている新紙幣発行にあわせる形で、新硬貨への対応も行う方向で検討中だそうです。

機器の改修が一斉に行われない理由としては、先述のとおり高額の費用が必要となるだけでなく、交通系ICカードの普及が進み、現金利用は今やおおむね全体の1割程度という状況があります。加えて、「新500円硬貨の流通量が予測できない」(東京メトロ)といった背景も。そのため、ひとまず駅に1台は新硬貨に対応可能な機器を確保したうえで「今後の流通状況にあわせてさらなる機器改修は検討していきたい」(同)という柔軟な運用で各社11月を迎えることになりそうです。

 

ちなみに、今回の新500円硬貨は「3代目」にあたります。22年前の1999(平成11)年に発行が終了した「銀色で側面のギザギザがない」初代の500円硬貨はどうなるのでしょうか。

先述の例だと、機器の改修を行わない関東バスは使えますが、東京メトロの改修後の機器では「非対応になる」とのこと。そもそも流通量自体が今や非常に希少となっている初代500円硬貨ですが、今後使える・使えないが分かれていくかもしれません。