みなさん、こんにちは。
新型コロナ特例で、条件によっては国民健康保険料が全額免除や50万円以上減額される制度が設けられているのはご存知でしょうか。収入の減少により、国民健康保険料を滞納せざるを得ない状況のご家庭もあるのではないでしょうか。
そこで今回は、新型コロナウイルスの影響による国民健康保険料の減免の条件や、一般的な世帯年収で考えた場合の具体例についてお話しします。
新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る国民健康保険料(税)の減免
概要
収入が減っている方は、国民健康保険料を全額免除もしくは大幅減額しますよという制度で、一部免除でも保険料が57万円以上減額されるケースがあります。
対象要件
他の給付金と比べて、要件が緩くなっているのが特徴です。
主たる生計維持者の令和2年中の事業収入等が(年収)前年比3割減
世帯で一番収入が多い方の収入が、前年に比べて3割以上減少している事が条件です。対象収入は「事業収入」「給与収入」「不動産収入」「山林収入」となっています。
※主たる生計維持者の前年度の事業収入等が「0円」の場合は、対象外です。
以下は、熊本市が公開している、令和2年の見込み収入の具体例です。
【令和2年中の収入について】
上記の「令和2年中の給与収入、事業収入、不動産収入または山林収入」は、令和2年12月末までに見込まれる収入を含んだ額です。
(例1)自営業をしており、1月と2月までは月50万円の収入があったが、3月は30万円、4月以降は10万円に減少し、今後も10万円ほどの見込みの場合。
[令和2年中の収入]=50万円×2ヶ月(1月,2月)+30万円(3月)+10万円×9ヶ月(4月~12月)=220万円
(例2)アルバイトで、1月から3月までは月20万円の収入があったが、4月は半減(10万円)。その後退職し、現在求職中だが、就職の見込みがない場合。
[令和2年中の収入]=20万円×3ヶ月(1月~3月)+10万円(4月)=70万円
前年度合計所得1000万円以下
前年の収入が1000万円以下であれば対象です。
前年の事業収入等以外の所得が400万円以下
これは、メインの収入が減少していることを確認する意味合いで、収入源が1つであれば対象です。例えば、メインの収入が400万円でも、そのほかに副業的な収入(株式の配当など)が450万円だと対象外となります。
減免割合
前年の合計金額によって分けられます。
- 全額免除:300万円以下
- 8割免除:400万円以下
- 6割免除:550万円以下
- 4割免除:750万円以下
- 2割免除:1000万円以下
この免除割合は、後期高齢者医療保険の場合も同じです。
介護保険料の場合は、以下の通りです。
- 全額免除:200万円以下
- 8割免除:200万円を超える場合
その他、全額免除となるケース
- 新型コロナウイルスで「世帯の主たる生計維持者」が死亡、または1ヶ月以上治療を要する重篤な傷病を負った場合(重篤な傷病に該当するには、病状が著しく重かった旨が医師の診断書等に書かれていることが必要です。)
- コロナショックの影響で事業廃止、失業となった場合
対象期間
2020年2月〜2021年3月までの14ヶ月分の保険料が対象で、すでに支払済の部分がある場合は遡って減額されます。
必要書類
各自治体で異なるため、お住まいの役所やホームページでご確認ください。
必要書類として【今年の収入見込み額がわかるもの】がありますが、これについては、今年の収入が30%以上減少していれば保険料の減額対象となりますが、今年の収入というのはまだ確定していません。
そこで厚生労働省の公式情報では、「迅速な支援の観点から【見込み】で判断することとして差し支えなく、【見込み】の判定方法については、例えば、申請までの一定の期間の帳簿や給与明細書等を提出していただく等により年間を通じた収入の見通しを立てていただくなど、一定の合理性を担保しつつ判断」と明記されています。
そのため、現時点での給与明細や売上台帳を見て収入が下がっていることを証明できれば大丈夫です。
一般的な世帯年収での具体例
兵庫県淡路市の国民健康保険料の計算例は以下の通りです。
- 世帯主:45歳、給与所得346万円
- 配偶者:42歳、給与所得55万円
- 子ども2人(15歳、12歳)
家族4人国民健康保険加入の場合、年間保険料が620,290円となりますが、世帯主の年間所得が400万円以下なのでが620,290円の8割が減額されます。
対象期間は14ヶ月なので、約57万円が減額されることになります。
留意事項
- 国や都道府県から支給される各種給付金は、事業収入等の計算には含めません。
- 申請後の審査には、約1ヶ月程度かかることが予想されます。
- 会社勤めの方は、失業保険などの別の制度で補償されます。
- 自治体によってはホームページに反映されていないことがあるので、役所に直接問い合わせると良いでしょう。
まとめ
今回は、新型コロナウイルスの影響による国民健康保険料の減免の条件や、一般的な世帯年収での具体例を取り上げてお話ししました。
補償制度の対象になっているにも関わらず、未申請のために全額支払っているご家庭や、国民健康保険料を支払えず滞納してしまっているご家庭も少なからずあると思います。
去年の年収が1000万円以下で、今年の収入が新型コロナウイルスの影響で3割以上減少する見込みの方は、国民健康保険料が2割〜最大全額減免され、世帯によっては57万円以上もお得になる制度なのでご活用ください。