ロシアの株式市場が大暴落、世界の株式市場は今後も下落するのか?
ロシアの株式市場が一日で13.2%下落という大きな下げに見舞われた。ロシアはまだウクライナへ本格的には侵攻していません。
世界的に株価がここまで不安定な状態になっていることからも、ウクライナ情勢が経済へもたらす影響が大きいことがわかります。しかし、ウクライナ侵攻は実際に起きるか、そして仮に起こったと場合、その後どのような展開になるのかは、今の時点ではわかりません。
株価にとって何が起きるかがわからない不安な状況というのは大きなマイナス要因。また、想定外の事態が起きた場合に、株価は上昇・下落どちらの方向にも大きく反応します。
現時点でウクライナへの侵攻があるというのは予想されていることなので、既に株価が下落しています。
そのため実際に戦端が開かれたとしても、そのこと自体で大きな暴落はないと考えられています。しかしながら、今後の展開次第では、さらなる下落もあり得ない話ではないです。
過去に戦争が起きたときを振り返っていただければ、有事というだけで必ずしも株価が下落するわけではないです。仮に下落しても、その後は比較的短い期間で回復しているケースも多いはず。つまり、戦争という現象自体よりもむしろ、それが起きたときの経済状況のが株価に大きな影響を与えると考えられます。
今回の場合は、世界的に物価が上昇気味であるところへ戦争が起きることで、原油や天然ガスの価格に大きな影響を与えることが懸念されています。そのため、実際に侵攻が起きた場合の一時的な下落は想定以上に大きいかもしれないです。
ウクライナ侵攻は投資家にとって「買うチャンス」になるか
短期的なトレードで利益を上げようとするのであれば、しばらくは神経質な展開が続くかもしれません。
長期投資を基本とする投資家にとっては、むしろ市場の下落に連れて個別企業の株価が下落した場合は、“買うチャンス”と考えてもいいかもしれません。
さほど影響のない企業であれば、下がった時点で買ってもいいかもしれません。もちろん買った後にさらに下がることも十分あり得ます。しかし、底値で買うなどということは不可能なので、投資しようとしている企業自体のファンダメンタルズが悪くないのであれば、市場に“連れ安”した場面は買ってもいいと思います。
短期的なトレードで利益を上げようとするのでしたら、しばらくは神経質な展開が続くかもしれませんが、長期投資を基本とする投資家にとっては、むしろ市場の下落に連れて個別企業の株価が下落した場合は、“買うチャンス”と考えます。
ただ厄介なのは、「下がれば買い」とはいっても、どの時点で買いを入れるのがいいのかがわからないことです。大事なことは、投資しようとしている先の企業の業績や利益成長率などの基礎的な要因に大きな変化がないかどうかを見極めることです。
ウクライナ侵攻で大幅下落しても絶対に売ってはいけない?
個人投資家がやってはいけない、最も注意すべき点は、下落したときに手持ちの株式を売ってしまうことです。特に昨今ではiDeCoやつみたてNISA等の制度を使って、少しずつ長期に積み立て投資をする投資家は増えてきています。そういう投資家は、たとえ下落した局面があってもやめずに続けることが大事です。
歴史的に見ても過去、幾多の暴落を乗り越えて市場は長期的には着実に拡大・上昇を続けています。
世の中において企業が行うありとあらゆる事業活動は(1)資本を投下し、(2)そこから収益を得、(3)投下した資本のコストを支払い、(4)利潤が生まれるという流れで続いております。
そうした一連の活動の中で生まれた利潤を全て分配してしまったり、消費に使ったりしてしまうと次の利潤を生む機会がなくなってしまいます。そのため、利潤の一部、あるいは全てを次の利潤を生むための新たな資本の投下に向けることになる。わかりやすく言い換えれば、投資における複利の概念と同じです。
「たった一つのルール」さえ守れば自由でいい
積み立て投資というのはこのメカニズムを長期にわたって取りに行くことであり、暴落したからといってそれをやめてしまうということでは、その恩恵を受けることができなくなってしまいます。
前述のように、市場が暴落したのであれば、本来はそこで新たな資金を投入し、買い増しをすべです。しかし、仮にそれができなくても積み立て投資においては積み立てることをやめさえしなければいいです。
一定金額で購入を続けていくことによって、下落した局面では自動的に数量を多く買うことができるからです。
よく「長期投資というけれどいつまで続ければいいのか?」と聞かれることがありますが、期間などを決めておく必要はない。余裕資金があればいつまででも続ければいいし、資金が必要であれば、売って換金すればいいだけです。株式や投資信託の場合は、不動産投資と違って流動性が高いのも大きな利点です。
今回のロシア=ウクライナ危機に限らず、今までもそしてこれからもこうした危機やそれに伴う暴落は何度でも訪れるのは間違いないです。
過去の例を振り返ってみても、その都度慌てて売買したことによって傷が深くなってしまったケースは多いです。投資を続けるかどうかは自分でコントロールできます。
投資家が守るべきことは「コントロールできないものに翻弄 (ほんろう)される」のではなく、自分自身でしっかりと「コントロールできること」を続けることです。