長生きがリスクにならない為に 〜資産寿命を延ばす〜

人生100年と言われる長寿の時代。


医療とテクノロジーの進歩によって、多少「何か」あっても生きていけるようになりました。
でも、私たちが“長寿”を享受するためには、
・身体と共に、心と頭脳も“健康”であること
・好きな活動をするための“資産”があること

一番大事なのは生命。寿命ではありますが、
健康寿命と資産寿命を永らえながら、いかに充実した自分の生を全うするか。

そして、これらは、死期が迫ってから考えるものではありません。
早めに学び、実践し、備えていくことが必要なのです。

では、長寿化のリスクにはどのような対応策が考えられるでしょうか?以下、3つのポイントを紹介します。

健康寿命の延伸

アメリカのジェロントロジー学者のニール・カトラーは、「健康状態の悪化による資産の枯渇を避けるために、健康寿命の延伸と資産寿命の延伸を同時に行うことが重要である」と主張しています。健康状態の悪い人は、健康な人に比べて医療や介護費用がかさむことになるため、資産が枯渇するリスクが高くなるからです。老後を豊かに生きるためには、健康づくりに励むことが欠かせないといえるでしょう。もっとも、健康に留意していても病気を完全に防ぐことはできません。このためカトラーは、万が一に備えて民間の医療保険や介護保険に加入することを薦めています。

長寿年金(トンチン年金)

これはごく簡単にいえば、年金保険加入者が拠出した保険料を長生きした人の年金に回す仕組みのことです。

長寿への備えというと、終身年金保険が有力候補となります。一般的な終身年金保険は、年金受取り開始までの間に亡くなった場合は死亡保険金が受け取れ、年金受取り開始後は一生涯に渡って年金を受け取るという仕組みです。一般的な終身年金保険は早くなくなった場合でも損をしないというメリットがありますが、高額な保険料を支払わなければ十分な年金額を受け取れないのはデメリットともいえます。

一方、長寿年金の場合、年金受取り開始前に死亡すると死亡保険金を受け取れないか、受け取れても払い込んだ保険料よりも保険金が少なくなります。ただし、その分だけ年金受取り開始後に受給できる年金額は増えるのがメリットです。

公的年金の繰下げ受給による対応

現行では70歳までの繰下げが可能ですが、65歳から70歳に繰下げた場合、年金額は42%増えます。65歳で受給開始したケースと70歳に繰り下げたケースを試算すると、年金受取り累計額は81歳で逆転することがわかります。ちなみに、いま65歳の人が81歳まで生存する確率は、男性で67.7%、女性で84.1%です。年金の繰り下げ受給は長生きするほどメリットが大きく、長寿化が進む中でもっと注目されてもよいのではないかと思います。

今後は年金受給開始をさらに繰り下げられるよう検討が行われる予定です。これが実現されれば、年金額をさらに厚くすることができ、公的年金だけで生活費を賄うことができるようになるかもしれません。その際には、公的年金受給開始が遅れる分だけ資金準備が必要になります。

まずは、将来のためのお金を、今から自分自身で準備していく必要があります。未来のお金のリスクにしっかり向き合い、自分で資産形成をしていかないといけない時代です。確定拠出年金やつみたてNISAなど、少額から初心者でも始めやすい制度を利用して、老後に安定した生活を送るためのお金を今から作っていくべきだと考えます。
マネーカレッジ では資産形成の勉強も行っておりますのでぜひご活用下さい。