サラリーマンでも副業|海外FXの税金・確定申告(後編)

サラリーマンでも副業|海外FXの税金・確定申告(後編)

 みなさん、こんにちは。

 前回、サラリーマンでも副業|海外FXの税金・確定申告(前編)で、そもそも年末調整や確定申告とは何か、海外FXで課税になるタイミングなどについてお話しました。

 今回は後編として、海外FXで重要な3つのポイントや、白色・青色申告の違い、節税ができるかどうかなどをお話したいと思います。

海外FXの確定申告で重要な3つのポイント

国内FXとは損益通算できない

 損益通算とは、黒字の所得から赤字の所得を差し引くことができる制度です。例えば、同じ年にA社では100万円の利益、B社では50万円の損失が出た場合、それぞれの利益と損失を相殺することができ、その金額を元に納税額が計算されます。

 

 国外FXと海外FXでは、税区分が異なる(総合課税と申告分離課税)ため、損益通算ができません。

 例えば、海外FXで利益100万、国内FXで損失80万円が出たとしても、国内FXの損失80万円は損益通算ができず、海外FX100万円全額が課税対象になります。

例)国内FXで損失80万円、海外FXで利益100万出た場合


国内FX

海外FX

損失80万円(損益通算できない)

利益100万円(全額課税対象)

 ただし、同じ税区分の「雑所得、総合課税方式」に分類される項目のものは損益通算できるため、海外FX業者同士の損益は相殺することが可能です。

例)海外FXと損益通算が可能なもの

海外FX業者A社
+100万円
海外FX業者B社
+40万円
仮想通貨取引
ー100万円
ネット転売
+20万円
アフィリエイト収入
+30万円

上記のものは全て「雑所得、総合課税方式」に分類されるものなので、損益通算すると雑所得の最終利益が+90万円になります。

海外FXは損失繰越できない

 損失繰越とは、その年の損益が赤字だった場合に、確定申告を行うことで最長3年先まで損失繰越ができる制度です。

 国内FXでは損失繰越が可能ですが、海外FXは前年度にどれだけ損失があったとしても繰越すことはできません。

ボーナス分は所得に含めない

 海外FX業者の魅力のひとつに、「ボーナス」があります。主なものとして、証拠金のみに利用できるボーナスとキャッシュバックされるボーナスの2種類があります。

 このボーナスを所得に含めるかどうかの判断基準は、「出金できるかどうか」になります。前者の証拠金のみに利用できるボーナスは出金できないため課税対象外です。しかし後者のキャッシュバックボーナスは、現金残高に付与されるため課税対象となります。

白色申告と青色申告について

 確定申告には、白色と青色の2種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。FXを副業としているサラリーマンの方は、主に「白色申告」を利用することになります。

【白色申告のメリット・デメリット】


メリット

デメリット

・記帳が簡易的
・事前の申請をしなくて良い

・特別控除など各種節税対策はできない

 白色申告の場合、事前の申請が要らず、確定申告の時期に前年度の損益について確定申告書類を作成して税務署へ提出して税金を納付するだけです。

 一方、青色申告では、65万円の控除を受けられるなど税制上に優遇があります。しかし、青色申告はやや難しく、申告をしようとする年の3月15日までに個人事業の開業届と青色申告承認申請書を届け出る必要があります。すでに開業届を提出していて、事業所得を得ている個人事業主やフリーランスの場合は、FXの利益を雑所得として申告します。

 

海外FXの確定申告方法

いつまでに納めるの?

 海外FXの課税対象期間は、毎年1月1日から12月31日です。1年間で得た利益を翌年の確定申告期間中(2月16日〜3月15日)に申告し、所得税を納めることが義務付けられています。確定申告期間はその年の曜日で前後する場合があるので、事前に確認しましょう。

 2021年(令和3年)の確定申告期間は2月16日〜3月15日です。期間をすぎると追徴課税が課されるので、申告が遅れないようにしましょう。

会社にバレないためには?

 副業OKの企業は増えていますが、海外FXしているのは会社にバレたくないという方もいらっしゃるかと思います。住民税は前年度の所得額をベースに金額が決まるため、住民税の額が大きいと会社には副業していることがバレてしまいます。

 そうならないためには、住民税を自分で納税するようにしましょう。確定申告の際に「住民税を自分で納付する」という項目を選択すると、海外FXの所得に関連した住民税は自分で納付することができます。給与所得に関連した住民税は、引き続き給与から天引きされて年末調整も行われるため心配ありません。

海外FXなら脱税できる?

 海外FX業者の取引口座が国内にないからといって、確定申告をしなくともバレないと思っている方がいらっしゃいますが、海外FXでは、銀行やクレジット・信販会社などが「国外送金等調査書」という、資金移動の記録を税務署に提出しています。そのため、「送金目的」や「送金額」「送金先口座情報」などの情報は税務署が把握しているので、脱税をするとバレてしまいます。必ず確定申告しましょう。

 

 国内FXでは、FXブローカーが「損益証明書」をトレーダーだけでなく、税務署にも提出しているので、未申告の場合はバレてしまいます。国内FX・海外FXに関わらず確定申告は義務なので、必ず行いましょう。

海外FXでも節税ができる?

 脱税はリスクもありますし、バレると余計な税金を追加で支払うことになり無駄な労力になりますので、必要経費などを出して節税するようにしましょう。

 海外FXで必要経費として扱える可能性があるものは以下のものです。(必要経費は実際に提出する必要はありませんが、提出を求められた場合にすぐ提出できるよう保存しておきましょう(青色申告なら7年間、白色申告なら5年間保存)。

【必ず落とせる必要経費】

・FX関連の書籍

・FXのセミナー参加費、勉強会参加費

・セミナー会場までの交通費

【一部が認められる必要経費】

 プライベートと併用しているものは5割ほど認められる場合があります

・パソコン、携帯端末の使用料金

・インターネット代(プロバイダ契約など)

・椅子、デスク,棚、照明などの周辺機材の料金

・会食やセミナーで使うスーツなどの衣類

【必要経費として認められるかどうか分からないもの】

 必要経費として計上することは可能ですが、認可される可能性は高くないため、あまり積極的に計上するものではないでしょう。

・FX仲間との食事会の費用

・勉強のための旅行費など

 必要経費になるかどうか判断が難しいものもありますが、仮に計上してダメだった場合は、その分の税金を払えばいいだけなので、ダメ元で計上してみても良いかと思います。

まとめ

 今回は、海外FXで重要な3つのポイントや、白色・青色申告の違い、海外FXで節税ができるのかどうかなどをお話しました。

 「折角苦労して得た収入なのに、税金を払いたくない」と思ってしまう人も少なくないかと思います。しかし、税金を納める義務がある以上、きちんと確定申告をする必要があります。

 確定申告は、1年間の収益の計算や必要経費の整理をする必要があるため、確定申告の時期になって慌てて準備するととても苦労します。そのため普段からこまめに収益を把握することや、領収書やレシートをスクラップブックやノートに日付順に貼ったり、ひと月ごとにホッチキス留めをしておくなどして備えておきましょう。